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【プロキャディ出口のゴルフ講座】日本シリーズJTカップを最終日最終組で回って


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こんにちは、プロキャディの出口です。

石川 遼プロの優勝で幕を閉じた先日の男子ツアー最終戦「日本シリーズJTカップ」。

私もチャン・キムプロのキャディとして、最終日最終組で回りましたが、東京よみうりカントリークラブの難しさを改めて感じさせられたトーナメントになりました。

大会は石川プロが優勝争いを展開していたので最終組の様子はテレビでもあまり取り上げられることは無かったとは思いますが、ここで少しだけ最終組の試合の展開を書かせていただきたいと思います。

最終組のメンバーは、抜群のショット力を持ったハン・ジュンゴンプロ、プレッシャーのかかった場面でも安定したパットが持ち味の時松隆光プロ、そして私がキャディーをさせていただいていた見ている人の度肝を抜くような飛距離でコースを攻略していくチャン・キムプロの3人でした。

今シーズン最終戦、それがメジャーともなれば朝の練習場から雰囲気は違います。
寒さの中にピリピリとした緊張感が漂い私も普段のトーナメントではあまり緊張はしないんですがこの日はいつもとは違い緊張していました。

東京よみうりカントリークラブというコースを少し説明させていただくと、距離はあまりないものの傾斜の強烈なグリーンが特徴です。これはテレビを見た方や現地で観戦された方であればお分かりいただけると思います。

ティーショットをフェアウェイに置き、セカンドショットでカップに対して上りのラインにつける正確なショット力、グリーンを外した後の多彩なアプローチを要するリカバリー力とイメージ力、まさしくゴルフの総合力が必要とされるコースになります。

1つの気の緩みや油断が命取りになり、1つボギーを叩くと試合中の流れや良いリズムを取り戻す事はとても難しくまるでドミノ倒しのようにスコアを崩してしまう選手の姿を幾度となく見てきました。なのでティーショットから最後のパットまで全く気が抜けません。

1番ホールのティーショットから18番ホールのパットまでが全て筋書きの無いドラマなのです。

最終組の3選手は試合の序盤から優勝争いを引っ張るべくバーディーや素晴らしいリカバリーショットで観客を盛り上げ一進一退の展開を繰り広げていました。

しかし試合の流れは突如狂うことがあります。

6番ホールPAR5で3選手ともバーディーとした後の続く7番PAR4でチャンプロのティーショットが大きく左へ曲がりました。OBこそなりませんでしたがボールの場所は木の根元でそのホールは痛恨のダブルボギー。チャンプロは7番ホールを得意としていて大会初日から3日目まで連日バーディーとしていただけにショックも大きかったです。

前半の9ホールを1アンダーで折り返した時松プロ、イーブンパーで折り返したハンプロも最終組という特別な緊張感の中でいつものプレーをする事はとても難しく後半にスコアを伸ばす事ができませんでした。

私達が想像する以上の緊張感の中で1打1打放つショットは選手の体力や集中力を少しづつ削っていきそれが最終組ともなればより何倍も削られていくんだと思い知らされました。

百戦錬磨の3選手でさえ平常心でプレーをする事が難しいJTカップという大会、東京よみうりカントリークラブというコースには今振り返ると大会を通じて沢山の事を学ばせていただきましたし、キャディーとしてもまだまだ甘いと言われてる気がします。

あの日が最終組ではなく、1位と2打差の展開でスタートしていればまた違った展開になっていたのではないかと思わない日はありません。

出口慎一郎

ツアープロキャディー。杉澤伸章氏の元で修行を積んだのち、片山晋呉、星野陸也などを始めとするトッププレーヤーのキャディとして活躍。スポーツメンタルトレーナーの資格を持ち、現在は脳科学も勉強中。多彩な経験を生かし、ライターとしても活動の幅を広げている。

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